はじめに ・・・
ピアノドラマ「洋琴 源氏物語絵巻」は、平成15年1月、冬の京都、平安神宮にてヒントを得ました。子供の手を引いて散歩といっても、日だまりを求めてあちらこちらと寒さをしのぎながらの冬景色です。ですがそうした体の感覚を超えても目を潤す美が京都にはあります。広い庭園の一角には和歌などに詠み込まれたおなじみの植物が植えられており、時期ではないものはその札だけがぽつんと立っていたのがさらに季節をしのばせ、源氏物語の作者もおなじ草花を愛でていたのであろうと思うと、その生をくりかえす植物が作者と登場人物と私たちを結びつけているようで急に物語が迫ってくるような錯覚を覚えたのです。
そこで、私にできるせめてもの表現で「源氏物語」を読むように、聞くように、ピアノを弾いてみたいと思ったのが今回のシリーズです。あくまでも一読者に徹し、読みすすめるのと同じ歩みで、また素晴らしい芸術作品、「源氏物語絵巻」が文学のひとこまにこめた時間に憧れつつその感動を音楽で表現してゆきたい、というコンサートです。
それから、クラシックでは特に名曲と言われている曲に人気が偏るようですけれども、長年ピアノを続けていると、なんとも味わいの深い、隠れた名曲が多いのに驚かされます。このよろこびを分かちあいたいというのがひとつの目的でもあります。とかくタイトルに特徴のない曲などはあえて聞こうとする機会が捉えにくいということもありますから、(こちらの選曲ではありますが)各場面とその言葉からうけるイメージの上に音楽をかさねてゆくことで、楽曲の印象を深いものにしたいと考えました。
時代を置き換えることでまた自分に帰って見つめ直すことができたら…
聴いてくださる方がアーティストです。どうぞ皆様の源氏の世界をお聞かせ下さい。自然と語り合えるような場になることを願っております。
よろしくお願いいたします。
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